広い視点で物事を見ろ、と作品を通じて言い続けたニコマスＰがいるような気がする。
その名を井川KPという。
──曰く、ニコマス界一の野球バカ
──曰く、ニコマス界一のＫＹ
──曰く、ニコマス界一の種馬
数々の異名を持つこの偉大なるプロデューサーについて、今日は存分に騙りたいと思いますなの！
…その前に「なの」をやめますなの。この語尾、書いてるとなんか窒息しそうなの。
“ニコマス動画のコペルニクス”井川KP
井川KP登場以前（2007年3月頃）、ニコニコ動画でのアイマス動画といえば、どちらかというとアイドル候補生たちのダンス映像のイメージが先行していました。
対して、アイマス楽曲は「とかちつくちて」のフレーズで有名になった「エージェント夜を往く」や、箱○公式トレーラーで世間に衝撃を与えた「Go my way!」を除いては、それほど浸透していなかったように思われます。
これは、当時「任意の曲にダンス映像の切り張りをかぶせる」ことがアイマス動画製作の主流だったため、アイマスオリジナル曲の出番が比較的少なかったことに起因しています*1。
この状況でデビューした井川ＫＰは、ニコマス界に逆転の発想を持ち込みました。
なんとアイマス曲に、彼の愛する野球映像を組み合わせたのです！
…と、ここまで書いてみてから調べてみたら、井川KPはデビューしてから一ヶ月近くコミュ動画しか上げてなかったです。
すみません。俺の記憶違いでした。
初のMADは2007年4月20日うｐの六甲おろし＋あずささんダンス動画「アイドルマスター まっすぐの振り付けに六甲おろしを合わせてみた」でした。
上で書いたようなアイマス曲＋野球映像の組み合わせが登場するのは2007年7月21日うｐの「アイドルマスター リーゼント夜を往く（古木付き）。
怒涛の野球動画ラッシュになるのはここからでした。
…。
ええと、何が言いたいかというと、「アイマス映像を使えばアイマス動画」というのが当たり前だと思っていたニコマスユーザの認識に一発いいのを食らわしてやったのが、この井川KPという男なのだよ。
そういう感じでまとめる。*2
追記：コメント欄のeiyaaaaaさんからの指摘で、アイマス曲＋アイマス関係ない映像はがぶ呑み氏が先にやっていたそうです。
ますますこの項の意味が無…
“ニコマス動画のコロンブス”井川KP
ともあれ、井川KPはデビュー数ヶ月にして「野球ネタでアイマス」という前人未到のジャンルをほぼ一人で築き上げました。
まあ、（ニコニコ的には）メジャーと言い難いアイマス曲に、（ニコニコ的には）メジャーと言い難い野球ネタの組み合わせで、見事にどニッチに走っただけといえばそうなのですが、とにかく思いついたことがすごいのです。
その驀進ぶりには当時から目を見張るものがあります。
たとえば、現在の日常的なお祭りラッシュの先駆けの一つとも言うべき「底辺P祭り」では、こんな作品も提出しています。
比較対象として、同時に参加していたＰの作品名も並べてみましょう。
a-eruP 「アナタのヒトコト」
dodoP 「アナタのヒトコト？」
カルミナP 「アナタのヒトコト」
井川KP 「野村のヒトリゴト」
(アイドルマスター 底辺P祭り 「The First Stage」 AMIside)
すごく…一人だけ空気が違います。
さすがKY。もといKP。
もちろん動画コメントも大盛況。
アイマス画像が1ドットすら入ってないぞｗｗｗｗｗｗｗｗ
だが使っている曲はアイマス公式曲。だからアイドルマスター動画に決まっているじゃないか。
と、井川KPは思っていたに違いありません。
すなわち、この頃から井川KPは人々に問題提起をしていたのでした。
「果たして、アイマス動画の条件とはなんなのか？」
“ニコマス動画の解脱者”井川KP
その後もアイマス×野球動画で絶好調の井川KP。
帰省時のネタをアイマスでやったり、怒涛のいおまこノーマルPV動画ラッシュをしたり、ニコ動上のイベント「擬似m@s」を主催したりしましたが、やはりホームは野球でした*3。
それまでも野村プロデューサーなどの佳作を作り続けていましたが、ゴールデンウィークを控えた4月26日、その真価が最高の舞台で発揮されます。
その動画の名は『アイドルマスターMAD 合作組曲「ニコニコ動画」』。底辺Pたちが集い作り上げた珠玉の合作MADです。
一つ一つの動画のクオリティには粗もあれば荒もある、しかしMADにかける思いは誰にも負けないぜ！！
…で、その中の一人に我らが井川KPがいました。
担当曲は「真っ赤な誓い」と「エアーマンが倒せない」。
いずれもニコニコ動画での認知度トップクラスの熱い熱い名曲です。
「真っ赤な誓い」はKPがハマっていた伊織・真による通称「いおまこ」コンビによる激しいダンス。決まっています。
そしてコメント欄も燃えます。
真っ赤な誓いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
よし決まった。素晴らしい。
そして間髪いれず「エアーマンが倒せない」。
…映像がいきなり実写になりました。野球です。
字幕がついてます。
あのバントは何回やっても防げない
前身守備で距離を詰めても
球の勢い殺される
おおー替え歌だ。川合のバントが防げないって野球ネタをエアーマンが倒せないにかけたわけですね。わかります。
ここでも動画コメントを引用しましょう。
アイマス関係ねえええええええええええええええええええ！！
ですよねー
たぶん、現在40000以上あるといわれる膨大なアイマス動画群の中で、1ビットもアイマス関連のデータを扱わないで「アイドルマスター」のタグを有してるのはこの動画だけです。*4
思うに、これが彼の「アイマス動画とは何か？」という問いへの答えだったように思います。
「俺がアイマス動画だといったらアイマス動画なんだ！」
道は己で決めるもの。
惚れ惚れします。
“ニコマス動画の最速謝罪番長”井川KP
時系列はだいぶ前後しますが、ニコマス界でいわゆる「カルタ事件」と呼ばれる騒動がありました。
真面目に説明すると長いので簡単に言うと、ある企業が作った商品のスタッフリストにニコマスのＰがＰ名のままで載り、その是非について「ちょっとした」ごたごたがあったのでした。
しかしそれは外部から見たときの話で、ニコマスのコミュニティ内部では荒れに荒れ、2ちゃんねるの関連スレは一時期まともに機能しない有様でした。
荒れの中心になったのは2ちゃんねるyoutube板議論隔離スレ（通称ギロカク）で、その企業の素性や参加Ｐの動向まで根掘り葉掘り調べてはあーだこーだとやっていたのですが、そこから飛び火してニコマス本スレも荒れてしまいました。
…そしてこのスタッフリストには、井川KPの名前も載っていたのです。
ああ神様！なぜ彼がここに
そんなとき、突然本スレに井川KPが現れました。
958 名前：名無しさん＠お腹いっぱい。[sage] 投稿日：2007/11/27(火) 18:56:45 ID:???0
アイドルマスター 真 伊織 私はアイドル メイド服
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1634697
自貼りです
今回の件でご迷惑をおかけしてすいませんでした
自張りついでにさらりと何かを謝っていく井川KP。
単語を濁しまくってる上に謝罪自体が「ついで」という、読みようによっては住人から「舐めてんですか貴様」的リアクションの可能性も十分にあるレスでしたが、冷静に考えて特に責めることもなく。
とりあえずスレ住人は「おかえり」と言って彼を迎え入れます。
その後も「井川はなんだか憎めない」といったフォローがあちこちで入ります。
すでに人心をも掌握しはじめた井川KP。
彼の行く先には受容と慈悲に満ちた輝ける道ができます。
“ニコマス動画の白いマシンガン打線”井川KP
…書くのめんどくさくなってきました。
ええと、あと書いておくことは…
ああ、そうだ。
ギロカクではおなじみの困ったチャン、EZことハイザこと天空院みさきPのラジオにゲスト出演したこともありました。
有名Pの一人であるクーマPと共に出演した井川P、入念な事前の打ち合わせもあり流れるようにコーナーを進めていきます。
さすがにデビューからすでに1年が経ち、貫禄すら漂わせる堂々たるパーソナリティーっぷりでした。
あまりに素敵な会話の内容に、リスナーのハートは鷲頭神もとい鷲づかみです。
この男に死角はないのか！？
…ちなみにその素敵会話の内容ですが、
「一日に5回は発射する」
「真のダンス映像でオナニーできる」
「ていうか、した」
といった子供にもわかりやすい下ネタや、
聞く者すべての魂と腹筋をふるわせる「Here we go！」の情感たっぷりの朗読などでした。
上でも下（シモ）でも自在にネタが出せる、こんなに芸風が広い人は、ニコマス界ではわかむらＰか井川Ｐくらいなもんです。
すごいよ井川さん。
あと、若いっていいなあ。
“ニコマス界のウィリアム・ウォレス”井川KP
とかなんとか言ってるうちに時間がきました。
主に俺の体力の。
いかがだったでしょうか。
井川KPの素晴らしさ、偉大さ、面白さが少しでも伝われば、拙筆押してがんばった甲斐があったというものです。後半はタイトルとまったく関係ありませんでしたね。
最後に、私と井川KPとの関係について少しお話しましょう。
まったく接点はありません。以上。
よって本人にもまったく承諾を取らないまま力強くこのエントリをうｐしますが、ご本人や関係者の方から抗議とかカチコミとか来たら素直に素早くためらいなく消すつもりでおります。
その点、本エントリ読者様にはご了承いただきたく、お願い申し上げます。
おやすみなさい。
